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SEA/J CTF for Students 2025 優勝者インタビュー

▲左から、福留校長先生・朝木さん・財前さん・髙部さん・梶原先生
2025年8月5日(火)、一般社団法人セキュリティ・エデュケーション・アライアンス・ジャパン(SEA/J)のアカデミ ー認定校を対象とした「SEA/J CTF for Students 2025」が開催されました。
※大会結果詳細についてはこちら
CTF 2025大会結果レポート:https://www.sea-j.net/partner-ctf2025report
CTF 2025開催案内:https://www.sea-j.net/ctf2025
137名(46チーム)が参加し、A部門(オープンクラス)では熱戦の末、KCS大分情報専門学校のチーム「Bishop」が見事優勝を果たしました。
【チームメンバー】
財前 匠汰(ざいぜん しょうた)情報エキスパート科 / AI・システム専攻 2年生
朝木 裕貴(あさき ゆうき)情報エキスパート科 / AI・システム専攻 2年生
渡邉 心史郎(わたなべ しんじろう)情報エキスパート科 / AI・システム専攻 1年生
髙部 紫音(たかべ しおん)大学併修科 / AI・システム専攻 1年生
メンバーの財前さん、髙部さん、朝木さんの3名に大会参加の経緯から優勝までの道のり、そして今後の展望についてインタビューしました。
また、残念ながらインタビュー当日、参加できなかった渡邉さんからもコメントをいただきました。
―――SEA/J CTF for Students 2025への参加を決めたきっかけを教えてください。

財前さん:
去年のリベンジです。もともと、個人でセキュリティの勉強をしていて、バグ報告やコードの作成をしていたんです。昨年度、梶原先生からお声がけいただき、 SEA/J CTF for Students 2024にチームで参加したところ、惜しくも2位という結果でした。
その悔しさをバネに、今年こそは1位を取りたいという思いで再出場しました。
髙部さん:
一つは、財前君に誘われたからです。
もう一つは、以前から親しんでいた「picoCTF」というCTFサイトで、難しい問題を解決していく過程がとても楽しかったので、この大会もきっと同じような面白さがあると期待したからです。
朝木さん:
私も財前君から「出てみないか」と誘われたのがきっかけです。財前君は独学でかなりセキュリティの勉強をしているので、一緒にチャレンジすることで、何か学べるのではないかと思い、参加を決めました。
―――財前さんは、チームメンバーを集めるにあたって、どのような基準で声をかけましたか?
財前さん:
「一緒にやったら楽しそうだな」と感じたメンバーに声をかけました。
学年も、所属学科もバラバラですが、共通の趣味や関心事を通して自然と仲良くなった人に声をかけた感じです。
クラブ活動などを通じて、普段から学年を超えて交流する機会が多い学校の雰囲気も、チーム結成の後押しになったと思います。髙部君と仲良くなったのも、ガーデニング部で一緒に野菜を育てたのがきっかけです。
―――大会への出場を決めた後、どのような準備をされましたか?
財前さん:
大会で配布される実行ファイルなどをスムーズに動かすために、仮想環境(VM)を準備しました。最近ではコンテナ技術なども進歩しています。しかし、念のため用意していたことが、結果的に非常に役に立ちました。ゲームで例えるなら、異なるプラットフォームでも一緒に遊べる「クロスプレイ」のようなイメージです。
髙部さん:
特別な準備はしていません。強いて言えば、最近注目されている「TypeScript」という言語を勉強したり、サーバー構築の経験を深めたりしていました。
朝木さん:
自分から積極的に準備をしたというよりは、財前君に教えてもらいながら進めていく形でした。
―――大会当日はどのように、解答を進めましたか?

財前さん:
当日は、仮想環境の構築や解析に必要なツールの準備などを優先的に担当しました。昨年の経験から、実際にやってみないと分からないことが多いと分かっていたので、全員が自由に問題を解いていく方針をとったんです。
序盤で全体の問題を確認し、解析や実行に時間がかかる問題などを早めに実施しておき、その待ち時間で他の問題を解く、といった進行を心がけていました。
髙部さん:
私は、好きな暗号系やクリプト系の問題を中心に解いていました。先輩たちが率先して難しい問題を解いてくれていたので、1年生の私と渡邉君は、安心して自分のペースで取り組めましたね。
朝木さん:
財前君や他のメンバーが解いてくれた問題を見ながら、自分にできることを精一杯やる、というスタンスでした。
―――大会を振り返って、特に印象に残っている問題はありますか?
財前さん:
楽しかった問題は「Godot Engine」というゲーム開発エンジンで作られた問題です。設問1では静的解析でクリアできました。しかし、設問2では暗号化されたパッケージファイルからの解析が必要となり、共通鍵の割り出しや動的解析など、より高度な技術が求められました。髙部君と渡邉君を中心に、チームメンバー全体で協力してなんとかクリアできた時は、達成感がありましたね。
髙部さん:
シリアルナンバーを解析する問題は、少し癖があって面白かったです。QRコードが隠されており、電話番号から逆算して解けるというものでした。ただ、選んだサービスとの相性が悪かったのか、結局解くことはできませんでした。
財前さん:
解けなかった問題の中では、デコンパイルを伴うバイナリ解析の問題が特に印象に残っています。コードを解析して脆弱性を見つけてフラグを取得する問題だったのですが、どれも非常に難しく、チームみんなとDiscordでチャットしながら試行錯誤しましたが、残念ながら解くことができませんでした。
―――優勝できた一番の理由は何だとお考えですか?
財前さん:
日頃からの学習の積み重ねが大きかったと思います。大会のために特別に詰め込むというよりは、普段からセキュリティについて学んでいること、そして実践する機会があったことが、結果につながったと感じています。
朝木さん:
財前君の知識量の多さと実行力も理由のひとつです。どんな問題に対しても、すぐに的確なアドバイスをくれたり、実際に手を動かして解決策を見つけたりするので、チームとして非常に心強かったです。
――優勝が決まった時の気持ちを聞かせてください。
髙部さん:
けっこう冷静でした(笑)。スコアの計算をしていたので、「優勝できそうだ」と思っていたんです。
財前さん:
私も同じです。大会序盤に多くの問題を解けていたので、スコアの推移から上位にいる確信はありました。とはいえ、目標を達成できたのは、やっぱり嬉しかったですね。
―――大会に参加したことで、ご自身の成長に繋がったと感じる点はありますか?
財前さん:
Web系の経験の浅さを痛感しました。私はサーバーサイドの実装を専門としているのですが、フロントエンドの知識はまだまだ不足していると痛感しました。今後は、その分野の知識を強化していきたいです。
髙部さん:
バイナリ系の問題が非常に苦手だと、大会を通じてあらためて感じました。数値計算やメモリ操作といった分野について、今後さらに知識を深めていく必要があると考えています。
朝木さん:
勉強不足を痛感しました。大会を通して、知らないことや、もっと勉強すべきことがたくさんあると実感しました。この経験を活かして、仕事でも役立つスキルを身につけていきたいです。
―――最後に、これからSEA/J CTF for Studentsに参加しようと考えている学生に向けて、メッセージをお願いします。

髙部さん:
IPA(情報処理推進機構)などが公開しているセキュリティに関する情報を日頃からチェックし、実際に手を動かしてみるのが一番だと思います。
財前さん:
諦めることはいつでもできます。私自身、一度は挫折してプログラミングの勉強をやめた経験があります。まずは気軽に挑戦してみて、ダメだったらまた別のことに挑戦すれば良いのです。CTFへの参加は、そうしたチャレンジにぴったりな入り口だと思います。
朝木さん:
まずは「やってみる」ことが大切です。実際にやってみると、分からないことがどんどん見えてきます。その分からないことを一つひとつ勉強していくことで、確実に成長を実感できるはずです。その経験は将来の仕事にもつながっていくはずです。挑戦することを恐れず、仲間を誘って、一緒に楽しんでください!
■渡邉さんのコメント

大会に参加したきっかけは、財前君から誘われたことです。最初は自信がありませんでしたが、「自信がなくても大丈夫」と言われ、挑戦を決意しました。
大会当日で特に印象に残っているのは、VHDファイルに含まれた消えた数字を見つける問題です。中学生の頃にゲーム機のメモリーカードのデータ復旧をして得た知識を活かせました。自分のチームしか正解できなかったので、役に立てたと感じ、すごく嬉しかったです。
休学中、不安を抱えつつ触れていたパソコンの経験も成果につながり、人生で何が役立つか分からないことを実感しました。一見無駄に思えることにも積極的に挑戦し、色々な経験を積んでいきたいです。
また、大会前にエントリーする前は、話したことがなかったメンバーもいるのですが、今では一緒にご飯を食べることもあります。友達が増えたのも、参加して良かった点です。
これから参加する人には、「まずは挑戦することが大事」と伝えたいです。失敗を重ね、できることを広げていけば、きっと道は開けます。
■おわりに
昨年の第二回大会を大きく上回る規模で、参加者137名(46チーム)で実施された「SEA/J CTF for Students 2025」。
大会への挑戦が、さらなる学びへのモチベーションとなったようです。
SEA/Jでは今後も、アカデミー認定校に対して多彩なサポートを行うと共に、学生たちの学びを支援していきます。
KCS大分情報専門学校の公式HPはこちらです。是非、ご覧ください。
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